解説ねえ、トモヤくん!『RAG…
解説
ねえねえ智也くん!この「木の中で推論する」っていう論文のタイトル、すっごく気になる!AIが森の中で迷子になっちゃった話?
いや、全然違うよ。これは「RT-RAG」っていう、AIが複雑な質問に答えるための新しい仕組みの話だ。木っていうのは、データの構造のことだね。
複雑な質問?「今日の晩ごはんなあに?」とか?
それは君のお母さんに聞いてくれ。ここで言う複雑な質問っていうのは、例えば「映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で、チャンスの声を担当した俳優の恋人役を演じたのは誰?」みたいな、複数の情報を段階的に調べないと答えられない「マルチホップ質問」のことだよ。
うわあ、ややこしい!頭がこんがらがっちゃうよ。AIならパパッと答えられそうなのに。
それが意外と難しいんだ。今のAIでも、質問をうまくバラバラに分解できなかったり、途中で一箇所でも調べ間違いをすると、そのミスが最後まで響いてデタラメな答えを出したりするんだよ。これを「エラー伝播」って言うんだ。
あー、伝言ゲームで最初の一人が間違えると、最後はとんでもないことになるやつだね!
まさにそれ。そこでこの論文が提案しているのが「RT-RAG」だ。まず、質問を「推論ツリー」っていう家系図みたいな形に分解するんだ。しかも、1つだけじゃなくて複数の分解パターンを作って、一番みんなが納得しそうな形を「合意形成」で選ぶんだよ。
へえー!AIの世界でも多数決で決めるんだね。民主主義だ!
まあ、統計的な確からしさで選ぶんだけどね。で、そのツリーの一番下の枝、つまり簡単な問題から順番に解いていくんだ。これを「ボトムアップ」って言う。もし途中で答えが見つからなかったら、質問の言い方を変えて検索し直したりもするんだよ。
下から順番にコツコツ解いていくんだね。智也くんみたいに真面目なAIだ!それで、結果はどうだったの?
かなり優秀だよ。既存のすごい手法と比べても、正解率が6%から7%くらいアップしたんだ。特に、情報がバラバラに散らばっているWeb検索みたいな状況で強いのが特徴だね。
7%も!それって、テストで言えば80点が87点になるくらいの違い?結構すごいじゃん!
そうだね。この技術が進めば、AIアシスタントがもっと複雑な調べ物をしてくれるようになるはずだ。ただ、まだ課題もあって、ツリーが複雑になりすぎると計算に時間がかかったりする可能性もある。
なるほどねー。でも、AIが木を登るみたいに一生懸命考えてると思うと、なんだか可愛く見えてきたかも!
よし、私もこの「推論ツリー」を使って、智也くんが隠してるお菓子の場所を突き止めてみせるよ!まず「智也くんの部屋」を検索して……
勝手に人の部屋を検索するな。それに、お菓子なんて隠してないからその推論は最初からエラーだよ。
要点
- 複雑な質問(マルチホップ質問)に対して、AIが情報を検索して回答する際の精度を向上させる「RT-RAG」という手法を提案。
- 従来のAIは質問を分解する際に間違えたり、途中の小さなミスが最終回答まで響いたりする(エラー伝播)という弱点があった。
- RT-RAGは質問を「推論ツリー」という木構造に分解し、複数の候補から最も確からしい構造を「合意形成」で選ぶことで分解ミスを減らす。
- ツリーの末端(葉ノード)から順に解いていく「ボトムアップ」方式を採用し、途中で怪しい回答があればやり直す仕組みを導入。
- 3つの主要なデータセットで実験した結果、既存の最新手法よりも正解率が大幅に向上(F1スコアで7.0%、EMスコアで6.0%向上)した。