解説ねえねえ、智也くん!これ、…
解説
ねえねえ智也くん!この『Internal Representations as Indicators of Hallucinations…』って論文、タイトルがかっこよくない?AIが嘘をつくのを見破る魔法の杖の話?
魔法じゃないよ。これはLLMエージェントが「ツール」を使う時に起こすミス、つまりハルシネーションをどうやって素早く見つけるかっていう研究だね。
ツール?AIがハンマーとかペンチを使うの?器用だねぇ。
いや、デジタルなツールのことだよ。例えば計算機を叩いたり、天気を調べるAPIを呼び出したりすること。でも、AIはたまに存在しないツールを呼ぼうとしたり、計算機の使いかたを間違えたりするんだ。これを「ツール呼び出しのハルシネーション」って呼ぶんだよ。
あー、知ったかぶりしてデタラメなボタン押しちゃう感じか!それってどうやって止めるの?
今までは、もう一度AIに確認させたり、外部のプログラムでチェックしたりしてたんだけど、それだと時間がかかるんだよね。この論文のすごいところは、AIが喋っている最中の「脳内の状態」、つまり内部表現を見て、リアルタイムで「あ、今こいつ嘘つこうとしてるな」って見抜くところなんだ。
えっ、脳内をのぞき見するの!?プライバシーがないじゃん!
AIにプライバシーはないから大丈夫だよ。具体的には、モデルの最後の層の隠れ状態を取り出して、それを軽量な分類器にかけるんだ。ツール名、引数、終わりの記号の3箇所のデータをガッチャンコして分析するんだよ。
へぇー、でもその「嘘つき判定機」はどうやって作るの?誰かが一個ずつ「これは嘘!これは本当!」って教えるの?大変そう……。
そこが賢いんだ。正解のデータからツール呼び出しの部分だけを隠して、AIに「ここに入るのは何?」って予測させる。自分の予測と正解が違ったら「ハルシネーション」として自動でラベルを貼るんだよ。人間が教えなくても勝手に学習データが作れる「教師なし学習」の仕組みを使ってるんだ。
なるほど、自分で自分をテストして特訓するんだね!それで、ちゃんと見破れるようになったの?
精度は最大で86.4%くらい。特に、ツールのパラメータを間違えたり、ツールを使うべきなのに勝手に自分で答えを捏造しちゃう「ツールバイパス」を見つけるのが得意みたいだね。
86%!結構高いね。これがあれば、AIが勝手に私の銀行口座から100万ドル送金しちゃう、みたいなミスも防げるのかな?
そうだね。セキュリティや信頼性が大事なビジネスの現場では、こういうリアルタイムの監視役はすごく重要になるはずだよ。ただ、まだ課題もあって、今は「嘘か本当か」の二択しか選べないし、特定のモデル専用の判定機になっちゃうんだ。
そっか、モデルごとに専用の「嘘発見器」が必要なんだね。将来的には、どんなAIにも使える「万能嘘発見器」ができるといいなぁ。
これからは、間違いを見つけるだけじゃなくて、その場で自動的に修正する研究も進んでいくだろうね。AIエージェントがもっと安心して使えるようになる第一歩だよ。
よし!じゃあ私の脳内の内部表現も分析して、テストでハルシネーションが起きないようにしてよ!
亜美さんの場合は、ハルシネーション以前に学習データが足りないんじゃないかな。
要点
- LLMエージェントが外部ツール(APIや計算機など)を使用する際、誤ったツールを選択したり、引数を間違えたりする「ツール呼び出しのハルシネーション」が問題となっている。
- 従来のハルシネーション検出手法は、複数回の推論や外部の検証が必要で計算コストが高かったが、本論文はモデルの「内部表現(隠れ状態)」を利用することで、リアルタイムかつ低コストな検出を実現した。
- 教師なし学習フレームワークを提案。正解のツール呼び出しをマスクしてモデルに予測させ、その一致度でラベル付けしたデータを用いて軽量な分類器を学習させる。
- 実験の結果、最大86.4%の精度でハルシネーションを検出。特にパラメータの間違いや、ツールを使わずに回答を捏造する「ツールバイパス」の検出に優れている。
- 推論と同じパスで検出を行うため、計算オーバーヘッドがほとんどなく、信頼性の高いエージェントシステムの構築に寄与する。