要点大規模言語モデル(LLM)…
解説
ねえねえ智也くん!この「代数的量子知能」っていう論文のタイトル、めちゃくちゃカッコよくない!?SF映画みたい!
ああ、日立やハピネスプラネットの研究チームが出したやつだね。量子力学の数学を使って、AIに「創造性」を持たせようっていう野心的な内容だよ。
えっ、AIって今でも詩を書いたり絵を描いたり、十分クリエイティブじゃないの?
そこがこの論文の出発点なんだ。今のAIは、たくさんの情報を与えられるほど、次にくる言葉を確率的に絞り込みすぎちゃうんだよ。つまり、どんどん「正解っぽい、ありきたりな回答」しか出せなくなる。これを「決定論的な収束」って呼んでる。
あー、空気を読みすぎて個性がなくなっちゃう優等生みたいな感じかな?
例えはアレだけど、本質的にはそうだね。そこでこの論文は、量子力学の「非可換代数」っていう考え方を持ち込んだんだ。亜美さん、「非可換」ってわかる?
ひ、ひかかん……?全然わかんない!美味しいの?
食べ物じゃないよ。普通の計算、例えば「2×3」と「3×2」はどっちも6でしょ?順番を入れ替えても結果が同じなのが「可換」。でも、量子力学の世界では順番を入れ替えると結果が変わる「非可換」な計算があるんだ。
順番で結果が変わる……。あ!服を着てからお風呂に入るのと、お風呂に入ってから服を着るのでは、全然結果が違うみたいなこと!?
……まあ、極端だけどイメージは近いかな。この論文では、AIに「財務の視点」とか「人事の視点」みたいな600種類以上の専門的な「演算子」を持たせてるんだ。どの順番でその視点を適用するかで、出てくるアイデアがガラッと変わるように設計したんだよ。
へぇー!視点の順番を変えるだけで、新しいアイデアがどんどん湧いてくるってこと?
そう。これを「ヒルベルト空間」っていう多次元の空間上のベクトルとして計算するんだ。さらに「C値(創造性値)」っていう指標を作って、どれくらいアイデアが広がったかを数値化できるようにしたのもすごいところだね。
すごそう!で、実際にやってみてどうだったの?ちゃんと天才的な答えが出た?
10の分野でテストした結果、従来のAIよりも創造性スコアが平均で27ポイントも向上したんだ。しかも、ただランダムに言葉を散らしてるんじゃなくて、文脈を保ちながら新しい視点を提示できているのが強みだね。
27ポイントも!それって、もう人間がいなくてもすごいビジネス戦略とか考えられちゃうってことかな?
実際、もう企業の意思決定支援とかで使われ始めてるらしいよ。ただ、課題もある。演算子の組み合わせが膨大だから、どう選ぶのがベストかっていう設計にはまだ工夫が必要だし、計算コストの問題もあるだろうね。
なるほどねー。でも、AIが「順番」を気にするようになるなんて、なんだか人間味があって可愛いかも!
人間味というか、高度な数学的設計なんだけどね。これからは「AIに何を教えるか」だけじゃなく、「どういう順番で考えさせるか」が重要になるかもしれない。
よし!私もこれから「おやつを食べてから宿題をする」のと「宿題をしてからおやつを食べる」ので、どっちが創造的な言い訳を思いつくか、量子的に実験してみるね!
どっちにしろ宿題はやりなよ。あと、それはただの食いしん坊の言い訳だから。
要点
- 現在のAIは、与えられる情報(文脈)が増えるほど、出力が予測可能な「当たり障りのないもの」に収束してしまうという構造的な課題がある。
- 量子力学の数学的枠組みである「非可換代数」を応用した、新しい知能フレームワーク「代数的量子知能(AQI)」を提案。
- 「非可換」とは、操作の順番を入れ替えると結果が変わる性質のこと。例えば「財務の視点→人事の視点」と「人事の視点→財務の視点」で異なるアイデアを生む仕組みを数学的に構築した。
- 600種類以上の専門的な「演算子(オペレーター)」をLLMに組み合わせることで、意味の空間をダイナミックに広げ、創造性を意図的に生み出すことができる。
- 実験の結果、従来のモデルよりも創造性スコアが大幅に向上し、すでに実際の企業環境でも導入・活用されている。