解説ねえ智也くん、この「Mix…
解説
智也くん、見て見て!この論文のタイトル、『LLMはリズムを刻めるか?』だって!AIがダンスでも踊り始めるの?
いや、ダンスじゃなくて詩の『韻(いん)』の話だよ。AIがギリシャ語の詩で、ちゃんと韻を踏めるかどうかを研究した論文だね。
韻かぁ。ラップとかでよく聞くやつだよね!AIなら計算が得意そうだし、余裕で韻を踏めそうな気がするけど?
それが実は、LLMにとって音韻、つまり言葉の『響き』を扱うのはすごく難しいんだ。LLMはテキストを『トークン』っていう数字の塊として処理してるから、人間みたいに音として認識してるわけじゃないんだよ。
えっ、そうなの?じゃあ、AIは耳が聞こえないのに喋ってるみたいな感じ?
例えとしては近いかもね。特に現代ギリシャ語は、アクセントの位置がどこにあるかで韻の種類が変わるから、文字だけを見てるAIにはハードルが高いんだ。この論文では、その問題を解決するために『ハイブリッド・システム』を作ったんだよ。
ハイブリッド!かっこいい!半分AIで、半分は別の何かなの?
そう。LLMの『文章を作る力』と、ルールに基づいた『音韻エンジン』を組み合わせたんだ。音韻エンジンは、ギリシャ語の文法ルールに従って、音節を分けたりアクセントの場所を正確に特定したりするプログラムのことだよ。
なるほど!AIが書いた詩を、厳しい先生がチェックするみたいな感じかな?
まさにその通り。この論文では『生成・検証・修正』っていうループを作ってる。まずLLMが詩を書いて、それを音韻エンジンがチェックする。もし韻が間違ってたら『ここが違うよ』ってフィードバックを返して、LLMに書き直させるんだ。これを最大15回繰り返す。
15回も!AIも大変だね……。それで、結果はどうだったの?
驚くべき結果だよ。LLM単体で詩を作らせると、正しく韻を踏める確率は4%未満だった。ほぼ全滅だね。でも、このハイブリッドシステムを使うと、成功率が73.1%まで跳ね上がったんだ。
すごーい!4%から73%って、めちゃくちゃ成長してるじゃん!
識別の方でも面白い発見があってね。Claude 4.5みたいな最新モデルに『Chain-of-Thought(思考の連鎖)』、つまり『順を追って考えて』って命令すると、かなり複雑な韻も見分けられるようになったらしい。
思考の連鎖……。AIも『えーっと、ここはアクセントがここで……』って考えてるってこと?
そう。ステップバイステップで考えさせることで、直感的に答えるよりも精度が上がるんだ。ただ、それでも『モザイク韻』っていう、複数の単語にまたがるような超複雑な韻は、どのAIもほとんど見抜けなかったみたいだけどね。
モザイク韻……なんだか難しそう。でも、この研究が進めば、将来はどうなるの?
ギリシャ語だけじゃなく、他のマイナーな言語の詩や歌を作るのにも役立つはずだよ。AIの創造性と、人間の言語学的な知識を組み合わせることで、より完璧な芸術作品が作れるようになるかもしれない。
課題とかはないの?
まだ完璧じゃないし、計算コストもかかる。それに、今回は『韻』だけだけど、詩には『リズム(韻律)』も大事だから、今後はそこもルール化して組み込む必要があるだろうね。
そっかぁ。じゃあ、私も智也くんへの感謝の気持ちを、ギリシャ語のモザイク韻でラップにして届けるね!
いや、君はまず日本語の普通の会話から練習してくれ。
要点
- LLMはテキストを「トークン」単位で処理するため、音節やアクセントといった音韻的な特徴を捉えるのが苦手である。
- 現代ギリシャ語の詩において、LLM単体では韻の検出や生成の精度が極めて低い(生成成功率は4%未満)。
- LLMと、ルールに基づいた決定論的な音韻アルゴリズムを組み合わせた「ハイブリッド・ニューロ・シンボリック・アーキテクチャ」を提案。
- 「生成・検証・修正」というエージェント的なループを導入することで、詩の生成成功率を73.1%まで劇的に向上させた。
- 推論能力の高いモデル(Claude 4.5など)にChain-of-Thought(思考の連鎖)を用いることで、複雑な韻の識別能力が向上することを確認した。